症例紹介

症例1 スプリント使用後、大きな出っ歯が明らかになったが外科を避けた症例について  

スプリントによるかみ合わせ治療によって、黒線から青線にあごの位置が変化し、開いてきました。(この時点では、まだ歯を動かしていません。)前歯が開きすぎたので手術も考えましたが、本人の希望により手術せずに上の小臼歯2本を抜歯し、上あごにアンカースクリューを4本植立して治療しています。
スプリントによるかみ合わせ治療によってあごの位置がこれだけ変化しますが、これは治療方針を明確にし、後々の治療の「二度手間」を省いていくために重要なプロセスとなります。

初診時の状態

スプリント使用後、大きな出っ歯が明らかになったが外科を避けた症例について:初診時の状態 右アップ

スプリントであごが下がりました。

スプリントであごが下がる 右アップ
スプリントであごが下がる イラスト

本来あごの手術の適応ですが、希望されなかったためそのまま抜歯矯正をしました。スプリントで事前にあごの位置が分かったおかげで、あごの位置は非常に安定しています。

あごの手術をせず抜歯矯正 イラスト

主訴

出っ歯

診断名

骨格性上顎前突

初診時年齢

26歳9ヶ月 女性

治療装置

スプリント+マルチブラケット装置

抜歯の有無

上顎左右第一小臼歯抜歯

治療期間

スプリント+矯正期間:3年5ヶ月

治療費

矯正治療基本料:81.8万円
+毎回の再診料:4,400円(スプリント):5,500円(矯正)
(税込)

副作用・リスクについて

①最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
②歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
⑤歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること
があります。
⑥ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
⑩様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
⑪歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
⑫矯正装置を誤飲する可能性があります。
⑬装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
⑮装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
⑯あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
⑰治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
⑱矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
スプリント(スタビライゼーションタイプ)のリスク及び副作用
効果には個人差があり、①めまい、②睡眠障害③こわばり④吐き気および/または嘔吐⑤唾液分泌の増加⑥咬合圧の増加⑦口渇⑧唇の乾燥⑨いびきの増加がリスクおよび副作用として考えられます。
上記以外に、スプリントによって今までの噛み合わせ位置の変化およびそれによる顔貌の変化が生じるとその改善には矯正治療や外科的矯正治療が必要となります。

症例2 スプリントによりあごが成長し、外科矯正を避けられた症例

この方も症例1同様、前歯が大きく開いており、坂道のようにあごが下がっているので、あごの手術しかないと伝えていました。12歳11ヶ月の女子なので、骨格の伸びがピークを過ぎており下あごの成長もこの状況ではほとんどないだろうと考えていました。手術をするにしても、手術に耐えられるようにあごの関節をしっかり作っておく必要がありました。その結果、まだ矯正治療はしていませんが、スプリントによるかみ合わせ治療によって意外にもあごが伸びはじめ、手術をしない選択も出てきました。外科矯正はあごの成長中はできないため、スプリントを使用しながら経過観察をしました。(例外的な長期使用例)

初診時12歳 外科矯正の可能性が大きいが、あごの成長を期待してスプリント治療を開始した。

初診時13歳 手術を前提とし、スプリント治療を開始

2年6ヵ月後、13-15歳にかけて下あごの成長が見られたため、あごの手術が必要か再検討している。

二年半後、13-15歳にかけて下あご成長が見られたため、あごの手術が必要か再検討している
二年半後、13-15歳にかけて下あご成長が見られたため、あごの手術が必要か再検討している イラスト1
二年半後、13-15歳にかけて下あご成長が見られたため、あごの手術が必要か再検討している イラスト2

主訴

出っ歯

診断名

骨格性上顎前突

初診時年齢

12歳11ヶ月 女性

治療装置

スプリント

治療期間

2年6ヵ月

抜歯の有無

スプリント治療のみのため非抜歯

治療費

スプリント治療基本料:55万円
+毎回の再診料:4,400円
(税込)

副作用・リスク

スプリント(スタビライゼーションタイプ)のリスク及び副作用
効果には個人差があり、①めまい、②睡眠障害③こわばり④吐き気および/または嘔吐⑤唾液分泌の増加⑥咬合圧の増加⑦口渇⑧唇の乾燥⑨いびきの増加がリスクおよび副作用として考えられます。
上記以外に、スプリントによって今までの噛み合わせ位置の変化およびそれによる顔貌の変化が生じるとその改善には矯正治療や外科的矯正治療が必要となります。

症例3 スプリントにより大きなあごのズレを改善、関節を安定化させてから修正を行った症例について

上あごの側切歯(手前から二番目の前歯)がクロスバイト(下顎歯列よりも中に入っている)を呈しています。このような場合、上あごの側切歯で下あごの位置が前方で噛まされている可能性がありますので、どこで本当は噛みたいか、どこにかみ合わせを悪くしている原因の歯があるかを、スプリントで探る必要があります。

この方は、あごを楽に閉じたときに上下の前歯一本だけが当たりはじめました。この歯が悪さをしており、無意識のうちにあごを前にずらして閉じていたことがわかりました。

初診時、あごの関節症状があり、矯正前にスプリントを使用しました。

初診時、あごの関節症状があり、矯正前にスプリントを使用 右
初診時、あごの関節症状があり、矯正前にスプリントを使用 正面
初診時、あごの関節症状があり、矯正前にスプリントを使用 左
初診時、あごの関節症状があり、矯正前にスプリントを使用 上
初診時、あごの関節症状があり、矯正前にスプリントを使用 正面下

スプリントであごが下がりました。(本来のリラックスしたあごの位置です)

スプリントであごが下がる 右
スプリントであごが下がる 正面
スプリントであごが下がる 左
スプリントであごが下がる 上
スプリントであごが下がる 正面下

本来の位置で歯を並べているため、計画通りに前歯がきれいに合わさりました。

前歯がきれいに合わさる 右
前歯がきれいに合わさる 正面
前歯がきれいに合わさる 左
前歯がきれいに合わさる 上
前歯がきれいに合わさる 下から
前歯がきれいに合わさる 正面下

主訴

がたがた

診断名

叢生

初診時年齢

30歳5ヶ月 男性

治療装置

スプリント+マルチブラケット装置

抜歯の有無

上下左右第一小臼歯抜歯

治療期間

2年4ヶ月(内スプリント4ヶ月)

治療費

矯正治療基本料:68.5万円
+毎回の再診料:4,400円(スプリント):5,500円(矯正)
(税込)

副作用・リスク

矯正装置の副作用

①最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
②歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
⑤歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること
があります。
⑥ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
⑩様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
⑪歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
⑫矯正装置を誤飲する可能性があります。
⑬装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
⑮装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
⑯あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
⑰治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
⑱矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
スプリント(スタビライゼーションタイプ)のリスク及び副作用
効果には個人差があり、①めまい、②睡眠障害③こわばり④吐き気および/または嘔吐⑤唾液分泌の増加⑥咬合圧の増加⑦口渇⑧唇の乾燥⑨いびきの増加がリスクおよび副作用として考えられます。
上記以外に、スプリントによって今までの噛み合わせ位置の変化およびそれによる顔貌の変化が生じるとその改善には矯正治療や外科的矯正治療が必要となります。

症例4 日本人特有の口元の緊張感を改善した症例について(成人)

あごが下がっている、比較的多いタイプの口元の改善の症例です。

上下の前歯にがたがたがあり、前歯の被さりが浅い状態を呈しています。

口が閉じにくい状態を呈しています。

初診時、正規では口唇の緊張があり、外貌ではオトガイの後退が認められます。

初診時、正規では口唇の緊張があり、外貌ではオトガイの後退が認められます。
初診時、正規では口唇の緊張があり、外貌ではオトガイの後退が認められます。右
初診時、正規では口唇の緊張があり、外貌ではオトガイの後退が認められます。正面
初診時、正規では口唇の緊張があり、外貌ではオトガイの後退が認められます。左
初診時、正規では口唇の緊張があり、外貌ではオトガイの後退が認められます。上
初診時、正規では口唇の緊張があり、外貌ではオトガイの後退が認められます。下

保定期間2年3ヶ月経過後、下あごの位置を改善させたことで、口元の緊張感がなくなるとおもに側貌ではオトガイが前方に出ることであご先の形態がS字になり、首筋のラインの改善も認められます。

下あごの位置を改善させたことで、口元の緊張感がなくなりあご先の形態がS字になり、首筋のラインの改善もみられる
下あごの位置を改善させたことで、口元の緊張感がなくなりあご先の形態がS字になり、首筋のラインの改善もみられる 右
下あごの位置を改善させたことで、口元の緊張感がなくなりあご先の形態がS字になり、首筋のラインの改善もみられる 正面
下あごの位置を改善させたことで、口元の緊張感がなくなりあご先の形態がS字になり、首筋のラインの改善もみられる 左
下あごの位置を改善させたことで、口元の緊張感がなくなりあご先の形態がS字になり、宇微筋のラインの改善もみられる 上
下あごの位置を改善させたことで、口元の緊張感がなくなりあご先の形態がS字になり、宇微筋のラインの改善もみられる 右アップ
下あごの位置を改善させたことで、口元の緊張感がなくなりあご先の形態がS字になり、首筋のラインの改善もみられる 正面下

主訴

出っ歯

診断名

歯性上顎前突

初診時年齢

20歳10ヶ月 女性

治療装置

マルチブラケット装置

抜歯の有無

上下左右の第一小臼歯抜歯

治療期間

1年9ヶ月

治療費

矯正治療基本料:68.5万円
+毎回の再診料:5,500円
(税込)

副作用・リスク

矯正装置の副作用について ①最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
②歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
⑤歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること があります。
⑥ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
⑩様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
⑪歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
⑫矯正装置を誤飲する可能性があります。
⑬装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
⑮装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
⑯あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
⑰治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
⑱矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。

症例5 かみ合わせの改善により顔貌の緊張感や非対称が改善した例(※スプリントによって必ず顔貌の非対称が治るものではありません)

あごが横にずれていた26歳6ヶ月女性の患者さまですが、スプリントでかみ合わせの治療をすると、前歯の真ん中があってきました。つまり、横に無意識にずらして噛んでいた可能性があります。真ん中が合うか合わないかは、実際にやってみないと分かりません。合わない場合は外科矯正をするのが一番ですが、患者さまの希望により妥協せざるを得ないことももちろんあります。こちらの患者さまは上あごが狭く、下あごが大きく下がっており、さらに上あごが斜めになっており、下あごの横方向のずれも持ち合わせているので、様々な大きな問題を解決するには結局は外科矯正が必要です。あごは大きいので親知らず以外の抜歯は行う必要はなく、SARPEの一次手術で上あごを骨格的に急速拡大し、二次手術で上下顎骨の移動を行います。

初診時、どこで噛んでよいか分からない状態

初診時、どこを噛んでよいか分からない状態 右
初診時、どこを噛んでよいか分からない状態 正面
初診時、どこを噛んでよいか分からない状態 左
初診時、どこを噛んでよいか分からない状態 下
初診時、どこを噛んでよいか分からない状態 横
初診時、どこを噛んでよいか分からない状態 正面下

スプリントにより本来のあごの位置が明らかになりました。(スプリントによってすべてのあごのずれが改善してしまうわけではありません)

スプリントにより本来のあごの位置が明らかになる 右
スプリントにより本来のあごの位置が明らかになる 正面
スプリントにより本来のあごの位置が明らかになる 左
スプリントにより本来のあごの位置が明らかになる 上
スプリントにより本来のあごの位置が明らかになる 下から
スプリントにより本来のあごの位置が明らかになる 正面下

主訴

出っ歯

診断名

骨格性上顎前突・顎変形症

初診時年齢

26歳6ヶ月 女性

治療装置

スプリント

抜歯の有無

スプリント治療のみのため非抜歯

治療期間

スプリント治療期間12ヶ月

その後手術を希望する場合は外科矯正治療に必要な期間は2年6ヶ月から3年6ヶ月ですが、あごの手術が必要な人はあごの関節も悪いことが多いので、あごの関節の状態や手術日程により期間が大きく変化します。例えば極端な場合、あごの関節が最も悪い人の場合だと、手術前にしっかり関節を作るのだけに数年かかることもあります。また、手術前に1年6ヶ月から2年6ヶ月かけて矯正をし、十分歯をならべておいた方が、手術してから歯を並べるよりもあごの関節やかみ合わせにとって負担が少なく安全であると当院では考えています。

治療費

スプリント治療基本料:55万円
+毎回の再診料:4,400円
(税込)

副作用・リスク

スプリント(スタビライゼーションタイプ)のリスク及び副作用
効果には個人差があり、①めまい、②睡眠障害③こわばり④吐き気および/または嘔吐⑤唾液分泌の増加⑥咬合圧の増加⑦口渇⑧唇の乾燥⑨いびきの増加がリスクおよび副作用として考えられます。
上記以外に、スプリントによって今までの噛み合わせ位置の変化およびそれによる顔貌の変化が生じるとその改善には矯正治療や外科的矯正治療が必要となります。

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