症例紹介

症例1 スプリント使用後、大きな出っ歯が明らかになったが外科を避けた症例について  

スプリントによるかみ合わせ治療によって、黒線から青線にあごの位置が変化し、開いてきました。(この時点では、まだ歯を動かしていません。)前歯が開きすぎたので手術も考えましたが、本人の希望により手術せずに上の小臼歯2本を抜歯し、上あごにアンカースクリューを4本植立して治療しています。
スプリントによるかみ合わせ治療によってあごの位置がこれだけ変化しますが、これは治療方針を明確にし、後々の治療の「二度手間」を省いていくために重要なプロセスとなります。これをやらないと治療中や治療後に、あごが徐々に開いてきて治療期間が延びてしまうからです。(30代女性、主訴:出っ歯、診断名:骨格性上顎前突)

初診時の状態

スプリント使用後、大きな出っ歯が明らかになったが外科を避けた症例について:初診時の状態 右
スプリント使用後、大きな出っ歯が明らかになったが外科を避けた症例について:初診時の状態 正面
スプリント使用後、大きな出っ歯が明らかになったが外科を避けた症例について:初診時の状態 左
スプリント使用後、大きな出っ歯が明らかになったが外科を避けた症例について:初診時の状態 上
スプリント使用後、大きな出っ歯が明らかになったが外科を避けた症例について:初診時の状態 右アップ
スプリント使用後、大きな出っ歯が明らかになったが外科を避けた症例について:初診時の状態 正面上

スプリントであごが下がりました。

スプリントであごが下がる 右
スプリントであごが下がる 正面
スプリントであごが下がる 左
スプリントであごが下がる 上
スプリントであごが下がる 右アップ
スプリントであごが下がる 正面下
スプリントであごが下がる イラスト

本来あごの手術の適応ですが、希望されなかったためそのまま抜歯矯正をしました。スプリントで事前にあごの位置が分かったおかげで、あごの位置は非常に安定しています。

あごの手術をせず抜歯矯正 右
あごの手術をせず抜歯矯正 正面
あごの手術をせず抜歯矯正 左
あごの手術をせず抜歯矯正 上
あごの手術をせず抜歯矯正 下から
あごの手術をせず抜歯矯正 正面下
あごの手術をせず抜歯矯正 イラスト

費用について

87万〜

期間について

移動距離が大きく、さらに成人だったので歯の移動がやや遅くスプリントの期間込みで3年半程度かかりました。
なお、あごが下がっている(骨格の問題)ということはもともとあごの関節が悪い人が多いので、あごが悪い人の中には、矯正治療に入る前に矯正治療の負担に負けないようなあごの関節を作るために、スプリントでかみ合わせを治療する期間がもっと必要な人もいます。

副作用・リスクについて

下あごが小さく、上の前歯が出すぎていたので、外科手術であご自体を移動させることを最初に検討する必要がありました。本人の希望により外科は行いませんでしたが、外科手術を選択しない場合には、骨の位置を飛び越えて前歯を移動させると歯周病のように歯を支持する骨がなくなってしまい、長い期間かけた矯正がかえって悪くすることになりかねませんので、あごの手術をしないと歯並びを作ることが無理な人もいます。診断時に最終的に骨の真ん中に歯が収められるかを検討しないといけないのですが、この方の場合はそれが可能であり、上下のあごの横幅も調和していたので問題ありませんでした。

症例2 スプリントによりあごが成長し、外科矯正を避けられた症例

この方も症例1同様、前歯が大きく開いており、坂道のようにあごが下がっているので、あごの手術しかないと伝えていました。12歳11ヶ月の女子なので、骨格の伸びがピークを過ぎており下あごの成長もこの状況ではほとんどないだろうと考えていました。手術をするにしても、手術に耐えられるようにあごの関節をしっかり作っておく必要があるので、16歳までスプリントによるかみ合わせ治療を行いました。その結果、まだ矯正治療はしていませんが、スプリントによるかみ合わせ治療によって意外にもあごが伸びはじめ、手術をしない選択も出てきました。(10代女性、主訴:出っ歯、診断名:骨格性上顎前突)

初診時12歳 外科矯正の可能性が大きいが、あごの成長を期待してスプリント治療を開始した。

初診時13歳 手術を前提とし、スプリント治療を開始

二年半後、13-15歳にかけて下あごの成長が見られたため、あごの手術が必要か再検討している。

二年半後、13-15歳にかけて下あご成長が見られたため、あごの手術が必要か再検討している
二年半後、13-15歳にかけて下あご成長が見られたため、あごの手術が必要か再検討している イラスト1
二年半後、13-15歳にかけて下あご成長が見られたため、あごの手術が必要か再検討している イラスト2

費用について

27万(スプリント治療のみ

期間について

手術が必要な人は治療に必要な期間は大体3年程度ですが、あごの手術が必要な人はあごの関節も悪いことが多いので、あごの関節の状態や手術日程により期間が大きく変化します。例えば極端な場合、あごの関節が最も悪い人の場合だと、手術前にしっかり関節を作るのだけに数年かかることもあります。また、手術前に1年半から2年くらいかけて矯正をし、十分歯をならべておいた方が、手術してから歯を並べるよりもあごの関節やかみ合わせにとって負担が少なく安全であると当院では考えています。手術は2週間の入院になるので、日程は長い休みに合わせる形になりますので、お子さんがいらっしゃる場合、あるいは仕事の都合などによっては矯正を完了させ、そのまま数年手術待ちの形を取ることもあります。

副作用・リスクについて

症例1と同じく、骨に対する歯の位置に気をつける必要があります。
下口唇を巻き込む癖がある場合には、上の前歯の傾斜が改善しにくいので、意識的に癖を行わないことが必要です。

症例3 スプリントにより大きなあごのズレを改善、関節を安定化させてから修正を行った症例について

よくあるがたがたのケースで、わかりやすい症例を選びました。
上あごの側切歯(手前から二番目の前歯)がクロスバイト(下顎歯列よりも中に入っている)を呈しています。このような場合、上あごの側切歯で下あごの位置が前方で噛まされている可能性がありますので、どこで本当は噛みたいか、どこにかみ合わせを悪くしている原因の歯があるかを、スプリントで探る必要があります。

この人は、あごを楽に閉じたときに上下の前歯一本だけが当たりはじめました。この歯が悪さをしており、無意識のうちにあごを前にずらして閉じていたことがわかりました。

治療は4本の抜歯を行い、セルフライゲーションブラケットとアンカースクリューを使用しています。(30代男性、主訴:がたがた、診断名:叢生)

初診時、あごの関節症状があり、矯正前にスプリントを使用しました。

初診時、あごの関節症状があり、矯正前にスプリントを使用 右
初診時、あごの関節症状があり、矯正前にスプリントを使用 正面
初診時、あごの関節症状があり、矯正前にスプリントを使用 左
初診時、あごの関節症状があり、矯正前にスプリントを使用 上
初診時、あごの関節症状があり、矯正前にスプリントを使用 正面下

スプリントであごが下がりました。(本来のリラックスしたあごの位置です)

スプリントであごが下がる 右
スプリントであごが下がる 正面
スプリントであごが下がる 左
スプリントであごが下がる 上
スプリントであごが下がる 正面下

本来の位置で歯を並べているため、計画通りに前歯がきれいに合わさりました。

前歯がきれいに合わさる 右
前歯がきれいに合わさる 正面
前歯がきれいに合わさる 左
前歯がきれいに合わさる 上
前歯がきれいに合わさる 下から
前歯がきれいに合わさる 正面下

費用について

85万円

期間について

成人男性で、2年4ヶ月(内スプリント4ヶ月)程度で終わりました。
なお、歯の動きやすさは個人差があります。(中にはものすごく動きにくく、ほぼ同時に始めたのに2年後に一人は終わって、もう一人はまだやっと前歯が並び始め、抜歯の隙間がまだ残っているような人がまれにいます。これは体質が要因ですので、治療期間は保証するものではありません。)

副作用・リスクについて

がたがたが大きいですので、がたがたがとれて並んだ時に歯と歯の間の歯ぐきに歯間ブラシが入るような三角形の隙間ができることがあります(ブラックトライアングル)。
幸い、今回はブラッシングが良好であったため、ブラックトライアングルを避けることができました。下あごの犬歯の歯肉は元々下がっているのでこれ以上下がらないように優しくブラッシングする必要がありそうです。

症例4 日本人特有の口元の緊張感を改善した症例について(成人)

あごが下がっている、比較的多いタイプの口元の改善の症例です。

上下の前歯にがたがたがあり、前歯の被さりが浅い状態を呈しています。

口が閉じにくい状態を呈しています。

このような場合、がたがたは少ないですが治療は4本の小臼歯の抜歯を行います。通常のブラケットを使用しています。こういった改善にはアンカースクリューを併用することが多いです。(20代女性、主訴:出っ歯、診断名:歯性上顎前突)

初診時、正規では口唇の緊張があり、外貌ではオトガイの後退が認められます。

初診時、正規では口唇の緊張があり、外貌ではオトガイの後退が認められます。
初診時、正規では口唇の緊張があり、外貌ではオトガイの後退が認められます。右
初診時、正規では口唇の緊張があり、外貌ではオトガイの後退が認められます。正面
初診時、正規では口唇の緊張があり、外貌ではオトガイの後退が認められます。左
初診時、正規では口唇の緊張があり、外貌ではオトガイの後退が認められます。上
初診時、正規では口唇の緊張があり、外貌ではオトガイの後退が認められます。下

下あごの位置を改善させたことで、口元の緊張感がなくなるとおもに側貌ではオトガイが前方に出ることであご先の形態がS字になり、首筋のラインの改善も認められます。

下あごの位置を改善させたことで、口元の緊張感がなくなりあご先の形態がS字になり、首筋のラインの改善もみられる
下あごの位置を改善させたことで、口元の緊張感がなくなりあご先の形態がS字になり、首筋のラインの改善もみられる 右
下あごの位置を改善させたことで、口元の緊張感がなくなりあご先の形態がS字になり、首筋のラインの改善もみられる 正面
下あごの位置を改善させたことで、口元の緊張感がなくなりあご先の形態がS字になり、首筋のラインの改善もみられる 左
下あごの位置を改善させたことで、口元の緊張感がなくなりあご先の形態がS字になり、宇微筋のラインの改善もみられる 上
下あごの位置を改善させたことで、口元の緊張感がなくなりあご先の形態がS字になり、宇微筋のラインの改善もみられる 右アップ
下あごの位置を改善させたことで、口元の緊張感がなくなりあご先の形態がS字になり、首筋のラインの改善もみられる 正面下

費用について

87万円

期間について

成人女性で、矯正の期間はちょうど2年ほどでした。
(歯の動きやすさは前述の通り個人差があります。)

副作用・リスクについて

この人に特有のリスクというより一般的なお話をすると、矯正治療後かみ合わせが安定してくる中で上下の歯の大きさの比率の都合で0.5-1mm程度の多少の隙間が上か下の犬歯の後ろにできることがあります。前歯や奥歯の間ではないので患者さんは気にならないようですが、そのような場合リテーナーで閉じるか、もしくは隙間に虫歯治療に使用する充填材料(コンポジットレジン)を盛って隙間がないように形成します。また、一般的に歯のねじれが大きかった所は、ねじれの再発を起こしやすいので、長期間接着性のリテーナー(写真の前歯裏についているワイヤーのようなもの)をつけたほうがよいことがあります。大きな場合は麻酔をして歯の間の歯周靭帯をメスで切断した方が良いこともあります。

症例5 日本人特有の口元の緊張感を改善した症例について(成長期)

やはりあごが下がっているタイプですが、成長期の口元の改善症例になります。

上下の前歯にがたがたがあって拡大矯正を行ったのですが、かえってお口が閉じにくくなってしまいました。そのため、治療途中ですが改めて抜歯のお話をさせて頂きました。

上下計4本の小臼歯を抜歯し、通常のブラケットにトランスパラタルアーチという針金状の装置とヘッドギアという夜かぶる帽子の装置を長期間併用しました。もともとあごは小さいですが、この人の場合は口元がリラックスし、見た目が改善されました。

(10代女性、主訴:がたがた、診断名:叢生)

非抜歯矯正(抜かない治療)の結果、口元が下がってしまった。

非抜歯矯正後、抜かないことをファーストとした治療の結果、口元が下がってしまった
非抜歯矯正後、抜かないことをファーストとした治療の結果、口元が下がってしまった 右
非抜歯矯正後、抜かないことをファーストとした治療の結果、口元が下がってしまった 正面
非抜歯矯正後、抜かないことをファーストとした治療の結果、口元が下がってしまった 左
非抜歯矯正後、抜かないことをファーストとした治療の結果、口元が下がってしまった 上
非抜歯矯正後、抜かないことをファーストとした治療の結果、口元が下がってしまった 右
非抜歯矯正後、抜かないことをファーストとした治療の結果、口元が下がってしまった 正面下

かみ合わせ治療によるあごの関節の安定化と抜歯によりあごの関節を中心とした下あごの成長がなされ、結果として顔貌の改善が得られた。

顔貌の改善が見られた
顔貌の改善が見られた 右
顔貌の改善が見られた 正面
顔貌の改善が見られた 左
顔貌の改善が見られた 上
顔貌の改善が見られた 下から
顔貌の改善が見られた 正面下

費用について

75万〜

期間について

矯正の期間は延べ6年、あごの成長を期待し骨格的な改善を期待するため、抜歯矯正に4年ほどかけてあまり急がずに治療を行いました。

副作用・リスクについて

このように大きな変化を期待したい場合、かみ合わせを改善するのに4本の小臼歯だけで足りない場合があり、その時は上あごの第二大臼歯を抜歯して親知らずを一生使うようにする可能性もあります。

また、年齢に限らず上あごの口蓋(最も骨が硬い部分で、神経は少ない場所)にアンカースクリューを植立しないとこの症例のようには改善できない場合もあります。

ヘッドギアをしっかり使わないと改善しないこともあります。

症例6 かみ合わせの改善により顔貌の緊張感や非対称が改善した例(※スプリントによって必ず顔貌の非対称が治るものではありません)

あごが横にずれていた成人女性の患者さんですが、スプリントでかみ合わせの治療をすると、前歯の真ん中があってきました。つまり、横に無意識にずらして噛んでいた可能性があります。真ん中が合うか合わないかは、実際にやってみないと分かりません。合わない場合は外科矯正をするのが一番ですが、患者さんの希望により妥協せざるを得ないことももちろんあります。この患者さんは上あごが狭く、下あごが大きく下がっており、さらに上あごが斜めになっており、下あごの横方向のずれも持ち合わせているので、様々な大きな問題を解決するには結局は外科矯正が必要です。あごは大きいので親知らず以外の抜歯は行う必要はなく、SARPEの一次手術で上あごを骨格的に急速拡大し、二次手術で上下顎骨の移動を行います。(20代女性、主訴:出っ歯、診断名:骨格性上顎前突・顎変形症)

初診時、どこで噛んでよいか分からない状態

初診時、どこを噛んでよいか分からない状態 右
初診時、どこを噛んでよいか分からない状態 正面
初診時、どこを噛んでよいか分からない状態 左
初診時、どこを噛んでよいか分からない状態 下
初診時、どこを噛んでよいか分からない状態 横
初診時、どこを噛んでよいか分からない状態 正面下

スプリントにより本来のあごの位置が明らかになりました。(スプリントによってすべてのあごのずれが改善してしまうわけではありません)

スプリントにより本来のあごの位置が明らかになる 右
スプリントにより本来のあごの位置が明らかになる 正面
スプリントにより本来のあごの位置が明らかになる 左
スプリントにより本来のあごの位置が明らかになる 上
スプリントにより本来のあごの位置が明らかになる 下から
スプリントにより本来のあごの位置が明らかになる 正面下

費用について

スプリント治療のみ実費27万円、もし手術であれば矯正は保険適用となり(入院費込みで75万円程度)ます。詳細はお問い合わせ下さい

期間について

手術が必要な人は治療に必要な期間は大体3年程度ですが、あごの手術が必要な人はあごの関節も悪いことが多いので、あごの関節の状態や手術日程により期間が大きく変化します。例えば極端な場合、あごの関節が最も悪い人の場合だと、手術前にしっかり関節を作るのだけに数年かかることもあります。また、手術前に1年半から2年くらいかけて矯正をし、十分歯をならべておいた方が、手術してから歯を並べるよりもあごの関節やかみ合わせにとって負担が少なく安全であると当院では考えています。手術は2週間の入院になるので、日程は長い休みに合わせる形になりますので、お子さんがいらっしゃる場合、あるいは仕事の都合などによっては矯正を完了させ、そのまま数年手術待ちの形を取ることもあります。

副作用・リスクについて

スプリントはあごの非対称を積極的に治すものではありませんので、顔面の非対称が残ることがあります。

SARPEにより両側の前歯の間に隙間ができてくるので、しばらく隙間に仮歯を入れる必要があります。

矯正以外の手術のリスク等については手術方法や手術環境などによっても大きな差があるので、ネット上の噂などを鵜呑みにせず、紹介先の病院の執刀医によるカウンセリングの予約日まで待つか、そうでなければ口腔外科にご相談頂くと安心かと思います。また、鼻炎があると手術に差し支えがありますので、耳鼻科医に処置依頼する場合があります。

お困りのことございましたら
ご連絡下さい。

ドクターと患者さんの間の言葉だけでは足りない部分を「見える化」し、お互いの言葉を理解しあえる絆を与えてくれる、そこがかみ合わせ治療の素晴らしいところです。これからもロス先生のやり方、かみ合わせ治療を広めていきたいと考えています。歯並びでお悩みを抱えていらしたり、矯正をお考えの方はどうぞお気軽にご来院下さい。